未来音楽研究室

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    ここでは、不思議な音楽、空想上の音楽、実験的な音楽などについて、紹介します。未来といいながら、結構、古典的なものを紹介しているのですが、そのへんは許してくださいませ。

 
 
ケプラーの惑星劇場
JAVAとMIDIを使って、ケプラーの想像した宇宙を再現します。
マンデルブロート劇場
フラクタルな画像と、マンデルブロ音楽がお楽しみいただけます。ちょっと重いです。
ハウアーのコード自動生成メカニズム
コード自動生成の仕組みを紹介します。
猫声合唱団
ランダムな音程で、猫が鳴きつづけます。


 

 

空想楽器

 
ケプラーの惑星音階
  とある場所でプラネタリュウムを見たのですが、そこの展示に、ケプラーの惑星音階のコーナーというのがありました。説明がなかったため、その時は何のことかわからなかったのですが、その後、このケプラーの惑星音階について、RoomOKというメーリングリストで質問したところ、てなさく氏、P.I.G.氏より、興味深い情報をいただきました。本などで調べた情報も付け加えて以下にその内容をまとめています。
 ケプラーは、音楽と天体運動の法則とのあいだに共通する法則を見い出そうと試みていました。そして、彼は、水星から土星までの6惑星の「近日点と遠日点における単位時間内の移動角度の比を 計算して」それぞれの惑星に音階を割り振ったのです。(厳密に言うと、音階とは違うのです。チョーキングやスライディングの様に音が連続的に変化するのです。) 太陽の周りを回る惑星は、太陽から遠く離れた位置では、最も遅い速度に、太陽に近い位置では、速い速度になります。この速度の増加と減少をケプラーは音程の上昇と下降とに対応させました。例えば、金星は離心率(軌道の円からのずれ)が小さく軌道が円に近いので、音程の変化が特に小さくなっています。このようにしてケプラーは、惑星の観測データを音符に当てはめたわけです。 
惑星 音階 MIDIデータ
土星 G1 A1 B1 A1 G1 MIDIデータ
木星 G2 A2 Bb2 A2 G2 MIDIデータ
火星 F3 G3 A3 Bb3 C4 Bb3 A3 G3 F3 MIDIデータ
地球 G3 Ab3 G3 MIDIデータ
金星 E4 E+4 E4 (+は4分の1) MIDIデータ
水星 A3 B3 C4 D4 E4 F4 G4 A4 B4 C5 A4 E4 C4 A3 MIDIデータ
 6つの惑星が出す6つの音は、ほとんどの時点で、不協和音を形成することになります。しかし、ケプラーは、6つの音が、長い年月のうちの数回は協和音を形成すると考え、この一連を“惑星の音楽”と表現しました。音楽辞典のグローブには、この協和音は、たった1度、おそらく、惑星創造の時にのみ起きるのではないか、と記されています。
 惑星が創り出すハーモニーを、人間でも聴けるように時間を速めて、尚且つ、1オクターブに収めることができます。このようにすると、地球と金星のあいだの間隔がとくによく聴けるので、この2つの惑星が夫婦の関係にあるとケプラーは考えていたそうです。
 
6つの惑星のハーモニー
地球と金星のハーモニー

 
ケプラーの惑星劇場

 
 
ハウアーのコード自動生成メカニズム
  乱数を使用した自動作曲では、モーツアルトのダイス・ミュージックがもっとも古いものだと思われます。しかし、これはあらかじめ用意されたパターン(小節)をサイコロの目によって組み替えるというもので、それ以外の、音楽を構成するためのメカニズムは存在していません。20世紀前半に活躍したオーストリア人のハウアーは、乱数と、あるルールを用いてコードの自動生成を行うためのメカニズムを考案しました。
 
ハウアーのコード自動生成メカニズム

 
マンデルブロ音楽
  マンデルブロート(Mandelbort)はフラクタルという概念を最初に考え出したフランス人の学者の名前です。フラクタルとは図形の性質を表すための言葉で、フラクタルの図形は、ある部分をとりだして拡大すると、それが元の図形の相似形になっています。そして、そのとりだした図形のさらに一部をとりだして拡大しても、やはり元の図形の相似形になっています。マンデルブロの図形は、複雑に見えますが、それを定義するマンデルブロ集合は、次のような実に簡単な数式で表現されます。
Zn+1 = Zn*Zn+a、(Z0 = 0)
Z,aはともに複素数で、|Z(n)|が無限大に発散しないような定数aの集合をマンデルブロ集合と呼びます。
  マンデルブロ集合から、音楽の生成を行うプログラムが、窪田洋さんによって開発されています。マンデルブロ集合の乖離値を一定のルールで解釈し音楽化するプログラムとソースコードがホームページ上で公開されています。
 マンデルブロの図形を表示しながら、マンデルブロ音楽が流れるページを作ってみました。図形の表示部分は、「Fractal for Java Applet」というサイトで、フリーで公開されているJAVAのソースファイルを改造して作成しました。黒い部分がマンデルブロ集合です。
 
マンデルブロート劇場
 

 

自然界にあるものを利用して音楽を作る試み

  自然界にある色々なものを利用して音楽をつくることができます。たとえば、地形の起伏をメロディの起伏に置き換えることでも音楽を作ることができます。また、脳波を測定し、そこから音楽をつくるようなこともできます。
大地の音楽
遺伝子の音楽

 


 


 

不思議な音楽のサイトへのリンク
一数学教師のこだわり
このサイトでは、円周率の数字を音程に置き換えて演奏するという試みがなされています。
T's Garbage Factory
ケプラーの考えた惑星の音楽を、仮想三次元空間上で体験できる「ネットワークプラネットアンサンブル」というフリーウェアがダウンロードできます。
The Sound of Mathematics
円周率からつくった音楽のほか、自然対数の底や、自然数など、数学に関するさまざまなものから生成された音楽が紹介されています。英語のサイトですが、簡単な構成になっていますので、英語の苦手な方も見ればわかると思います。
不思議な音楽の部屋
マンデルブロ集合の乖離値を、一定のルールで解釈し、音楽化したマンデルブロ音楽が紹介されています。
フラクタルによる自動作曲プログラム
Chaos von Eschenbach
マンデルブロー集合の演算ロジックを元に自動作曲をおこなうソフトウェアがあります。
Kasyou
標準midiファイルの音程をあやつり異質!異端!の楽曲に変更して、再生するプレイヤーが紹介されています。
HIRAX
音楽に関するちょっと変わった実験が紹介されています。
Fractal Tune Smithy home page
フラクタル音楽の手法が紹介されています。
たんぱく質の音楽
たんぱく質と音楽にまつわる不思議な話がたくさん掲載されています。